2011年12月12日月曜日

冬合宿を終えて

129日から11日までの3日間、八ヶ岳にて冬合宿を行いました。
私たちの班の発表は2日目に割り当てられていたので、1日目は他班の発表が終わったあと、部屋に戻ってグループワークを始めました。

私達はこれまで主に宝塚のキャスト、中でもスターの育成方法にスポットを当てて研究してきました。しかし、卒業論文では、それを語る上での理論が必要になります。私達はその理論をどうするか決めかねていました。

そこで視点だけでも揃えようと、今回の発表ではAKBと宝塚両者の育成に関わる制度に着目して比較し、
「開放的な育成を行うAKB」と「閉鎖的な育成を行う宝塚」という、それぞれの組織のビジネスシステムを解説していこうと考えました。
なぜなら、前回の元娘役スターの方のインタビューを通じて、宝塚は生徒を公私共に徹底的に管理し、ある種閉鎖的な環境で育成していることが分かったのに対し、AKBはメンバーごとに所属事務所が異なり、メンバーのイメージや特技に応じて育成の方向性も変えていることが様々なインタビュー記事を読むことで分かり、むしろ開放的な育成を行っていると感じたからです。


しかし、発表では「意外性がない」、「本質にまで切り込めていない」、「ファンの求めるものとか、もっと根本的な違いを見たほうがいい」等々…、厳しいご指摘を頂きました。宝塚とAKB、両者の育成の方法にとらわれすぎて、どうしてその育成方法を行うのか等の本質的な部分まで踏み込んで発表できなかったのが、このような結果になってしまった大きな敗因だと思います。
前日、深夜までスライドを作り直した結果がこのような発表になってしまったのはとても悔しかったです…。

けれども、私たちが落胆しかけているところ、先生は「キャズム」という、顧客の特性に関する理論をご紹介くださいました。
「キャズム」とは、ハイテク業界において新製品・新技術を市場に浸透させていく際に見られる、初期市場からメインストリーム市場への移行を阻害する深い溝のことを指します。これは、ジェフリー・A・ムーア(Geoffrey A. Moore)の著書『Crossing the chasm』(1991年)に登場するキーワードであり、「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラ ガード」の5タイプに分類された顧客タイプのうちの「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」にある深い溝のことを言います。「アーリーアダプター」に分類される顧客は、流行りに敏感で早く商品を試したいと思う性質があり、「アーリーマジョリティ」に分類される顧客は、商品が流行して初めてそれに追随するかたちで商品を買いたいと思う性質があると言われています。
一般的に商品を普及させるためには、その商品を市場規模の小さい初期市場から規模の大きいメインストリーム市場に浸透させる必要があると考えられています。よって、多くの企業はメインストリーム市場に商品を浸透しようと「アーリーマジョリティ」の獲得を目指しますが、一般的にメインストリーム市場に商品が浸透すると、それまでその商品を支持していた「イノベーター」は、新しいものを進んで採用するという性質を持つため他の商品の方へ離れてしまうと言われています。

宝塚とAKBの本質的な違いを示すために「キャズムを超えてもイノベーターを保持できているAKB」と「あえてキャズムを越えようとしない宝塚」というように描いてはどうか、というアドバイスを頂きました。確かにAKBは、現在多くのメディアに活躍していますが、今も設立当時から劇場に足を運んでいた初期ファンを保持しているように見えます。これは、キャズム論に当てはめると、キャズムを越えてもなお「イノベーター」を保持しているといえるかもしれません。一方宝塚は、敢えてメディアに進出せずに、活動の場を劇場に留めており、キャズム論に当てはめると、敢えてメインストリーム市場に進出しないことで、宝塚の世界観を守っているといえるかもしれません。私達はこのように、キャズム理論をもとに、両者を分析、考察していくことにしました。

そこで私達は、その方向性で研究を進めるために、まずはキャズムに対する理解だけでなく、まずは上記に述べた「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」のタイプに位置するAKBのファンにAKBを好きになった理由をインタビューすることで、何故AKBはキャズムを越えることができたのかを明らかにしたいと思いました。またAKBの設立当時からファンでいる方を「イノベーター」と定義し、彼らに何故ずっとファンでいるのかをインタビューしたいと思いました。「イノベーター」や「アーリーマジョリティ」等のタイプ分けは、AKBの設立当時からファンなのか、AKBがテレビに出る前からファンなのか等を基準に行うことにしました。
今後は、早速ファンの方へインタビューのアポイントを取りに行きたいと思います。

紆余曲折のあった冬合宿でしたが、時間も限られてきたので、足を止めることなく進んでいきたいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿